接客力アップのコツブログ
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2022.1.25

覚えよう!すぐに使える接客敬語


接客敬語とは、読んで字のごとく、接客時(お客さまをおもてなしする時)に使う用語・敬語のことです。
スタッフ自身の身だしなみや、お店の雰囲気や清潔感などの外見は気にする方は多いと思いますが、言葉遣いを徹底し切れていない店舗やスタッフは多いのではないでしょうか。
しかしながら、お客さまがスタッフの不適切な言葉遣いに敏感になることはよくあります。
みなさんもご自身が接客された時、スタッフの言葉遣い・敬語が気になった経験はありませんか。

このコラムは
・接客する時に正しい敬語が出てこない
・スタッフの言葉遣いが気になるので正しい敬語を教えたい
・より良い接客を目指したい
このような思いを持つ方へ、改善の第一歩となる必要な知識をまとめました。
ぜひご自身・スタッフの言葉遣いを振り返りながらご覧ください。

接客敬語はなぜ大事?


そもそもなぜ丁寧な接客が大事だと言われるのでしょうか。
接客の重要な目的は「お客さまにお店・ブランドのファンになってもらい、またお店にきてもらう」ことです。
リピーターが増えれば、自ずと店舗・館の売上も向上するからです。

この目的を達成するためには、お客さまに「このスタッフから接客を受けてお買い物をしたい」と感じていただけるような信頼感のあるスタッフになる必要があります。
つまり、お客さまとの良質な関係を築くこと、またお客さまが満足できる接客をすることが不可欠なのです。

お客さまに満足いただける接客の第一歩。それが「接客敬語」です。
接客敬語は、お客さまとのコミュニケーションの土台とも言えます。
身だしなみやお店の雰囲気と同じように、スタッフや店舗に対する印象を左右する大きな要素です。
正しい言葉遣いでお客さまと良い関係を築いて、「選ばれるスタッフ・選ばれる店舗」づくりに努めましょう。

接客敬語をマスターすることはお店・ブランドのためでもありますが、自分の接客へのやりがいやキャリアにも繋がっています。
まず、接客敬語を完璧に使いこなせるようになれば、今までよりもさらに自信を持ってお客さまと話すことができます。
自信を持って接客にあたることで、お客さまからもより信頼していただけるようになるでしょう。さらに、正しい敬語は店頭で接客をしている時以外の様々な場面で役に立つものです。
美しい言葉遣いはどんな相手にも良い印象を与えますから、みなさんのキャリアにとっても助けになるはずです。

接客敬語は、基礎でありながらこれだけ多くの役割を果たします。
ないがしろにせず、意識しなくても完璧で美しい言葉遣いができるように徹底していきましょう。

敬語の基礎


接客敬語や接客業特有の言葉を学ぶ前に、敬語の基礎をおさえておきましょう。
学校で習うものばかりですが、この基礎知識の抜け落ちが間違った言葉遣いに繋がります。
お客さまの前で恥ずかしい間違いをしないように、丁寧に確認しましょう。

敬語の役割

そもそもなぜ敬語を使わなければならないのでしょうか。
敬語には、大きく分けて3つの役割があります。

①相手に対する尊敬の気持ちを言葉で表現する
②相手と自分の立場をわきまえることで、相手との関係を良好にする
③話し手の品格を表す

①から③の全ての役割が、お客さまとのより良い関係づくりに効果をもたらします。

敬語の種類

敬語には尊敬語・謙譲語・丁寧語の3種類があります。
3つの違いとルールを知り、実際の接客でも正しく使い分けられるようにしましょう。

①尊敬語(そんけいご)
相手、つまり動作の主の動作や状態を高め、敬う言葉のことをいいます。
つまり動作の主が話し手よりも目上の人の場合に使います。

例:お客さまが言う → お客さまがおっしゃった

②謙譲語(けんじょうご)
動作をした人がへりくだる(一段下がる)ことで、相手を立てて間接的に敬う言葉のことをいいます。
つまり相手が話し手と動作の主よりも目上の人の場合に使います。

謙譲語で注意すべきポイントは、動作の主が自分でなくてもよいという点です。
相手から見て動作の主が話し手と同じグループに所属すると考えられる場合、動作主の動作や状態には謙譲語を使います。

店舗の業務でも、自分以外の人の動作に謙譲語を使う場面は多々あります。
例えば、お客さまや店舗外の方に対して店長が対応しますと伝える際には、店長の動作に対して謙譲語を使いましょう。

例: そのことについて私たちは知りません →そのことについて私たちは存じ上げません
店長が行きます → 店長がうかがいます

③丁寧語(ていねいご)
相手に敬意を示し丁寧に話すための言葉のことをいいます。
相手を高める効果や自分がへりくだる意味合いはありません。
「ですます調」とも言われ、語尾に「です」「ます」をつけると丁寧語になります。

例: 来る → 来ます
言う →言います

接客7大用語


接客業に携わるスタッフに必須の7つの言葉が「接客7大用語」です。
スタッフが毎日見るところに掲示していたり、朝礼で復唱していたりするお店も多いと思います。

まずは、この基本となる「接客7大用語」を身につけましょう。
実際の接客で言っているうちに意識せずに口から出るようになりますので、まずは実践することが重要です。

では、それぞれ詳しくみていきましょう。

いらっしゃいませ

「いらっしゃいませ」は、お客さまをお店に迎え入れるための言葉です。ご来店への感謝の気持ちも含まれます。
お店のイメージに合わせて「いらっしゃいませー」と語尾を伸ばす場合もありますが、語尾を伸ばさずはっきり発声する方がより丁寧です。
お客さまを明るくお出迎えすることで、お客さまのお店・スタッフに対する第一印象も良くなり、その後の満足度や購入の決定にも影響します。

ポイント: お客さまをしっかり見て笑顔で挨拶しましょう。

ありがとうございます

「ありがとうございます」は、お客さまに感謝の気持ちを伝えるための言葉です。
商品やサービスを褒めていただいたときや、商品を購入またはサービスを利用してくださったとき、お客さまが何かに気づいてくださったときなどには、お客さまへの感謝を言葉にしましょう。
お見送りの際にも、礼をして「ありがとうございました」と感謝の気持ちを伝えます。

お客さまがスタッフに対して親切にしてくださった際も、「すみません」ではなく、「恐れ入ります。ありがとうございます。」と感謝の言葉を忘れないようにしましょう。

ポイント:言葉に感謝の気持ちを乗せて、お客さまに伝えましょう。

少々お待ちください

何かの理由ですぐにお伺いできない場合、接客中その場を離れる必要性がある場合に言う言葉です。
お客さまの要望に応えるために別の場所に移る場合も出てくるでしょう。
その場合は、「少々お待ちください」とお客さまに伝えます。
何も言わずにいなくなってしまうとお客さまは不安に感じます。

また「こちらでお待ちください」「椅子にかけてお待ちください」などと場所をお伝えしておくと、お客さまもスタッフ自身も混乱することが少なくなります。
さらに「5分ほどお待ちください」というようにだいたいの時間をお伝えすると、お客さまの待ち時間に対して感じるストレスが軽減されます
お待たせする時間が長くなったときは、もう一度お客さまにお待ちいただくことをお伝えし、重ねて謝罪しましょう。

ポイント: 待たせているので、申し訳ないという表情をしながら伝えましょう。
お客さまを待たせているという気持ちを忘れずに、迅速に対応できるように心がけましょう。

かしこまりました

お客さまからご要望があった時に、承認したことを伝える言葉です。
「承知しました」「分かりました」でも意味は変わりません。
「かしこまりました」は謙譲語であり、「承知しました」「分かりました」は丁寧語です。
接客時は基本的に「かしこまりました」を使います。

ポイント: お客さまの要望をしっかり聞き、笑顔で対応しましょう。
すべての要望に応えることはできませんが、できるようにお客さまに最善を尽くしましょう。
不可能なことの場合も「できない」と否定ばかりするのではなく、代替案などが提案できるよう日頃から考えておくことが必要です。

申し訳ございません

クレームをお受けしたとき、お客さまにご不便をおかけしたときに使う謝罪の言葉です。
「申し訳ありません」では丁寧さが欠けてしまい、「すみません」「ごめんなさい」は接客業では相応しくないといわれています。
しっかり謝罪の気持ちを込めた丁寧な言葉で対応しましょう。

ポイント:お客さまはただ謝って欲しいわけではありません。お客さまにご不便をおかけしたこと、不快な思いをさせてしまったことを受け止めて、謝罪しましょう。

お待たせいたしました

「少々お待ちください」とお客さまを待たせてしまった時に使う言葉です。
お客さまをお待たせした時間に関係なく「お待たせいたしました」とお伝えします。
お待たせした時間が自分の伝えた時間を超えたり、お客さまがお疲れのご様子だったりした場合は、「大変お待たせしました」とより丁寧にお伝えしましょう。

ポイント: 数秒であってもお客さまは待ってくださっています。感謝の気持ちを持って応対しましょう。

恐れ入ります

主に以下の2つの場面で使う言葉です。
1つ目は、お客さまから感謝された時などに感謝と恐縮の気持ちを伝えたいときです。
おこがましい態度にならないよう、「ありがとうございます」だけでなく「恐れ入ります」と加えましょう。

2つ目は、お客さまに何かお尋ねする時やお願いする時です。
この場合、「恐れ入ります」と単体で使うのではなく、「恐れ入りますが〜」と文頭に入れることで柔らかく丁寧な印象を与えます。
このように文頭に入れておこがましさや不躾さを軽減する言葉を「クッション言葉」と言います。
「クッション言葉」は他にも「お手数をおかけしますが」「差し支えなければ」「申し訳ございませんが」などがあります。
状況に合わせて適切な言葉が出てくるようになるとよいでしょう。

ポイント:恐縮する際に「申し訳ございません」「すみません」などと謝罪を述べてしまう方が多いのではないでしょうか。なにを謝っているのだろうと思われかねないので、適切な言葉「恐れ入ります」がスムーズに口から出てくるようにしましょう。

気をつけたい接客敬語のポイント


ここまで正しい接客敬語を学びましたが、不適切な接客敬語とはどのようなものなのでしょうか。
ここでは接客中の言葉遣いで間違えやすいポイントを4点ご紹介します。
基本的な部分ですので、接客中にも常に意識できるようにしましょう。

「尊敬語」と「謙譲語」の混同

尊敬語と謙譲語は敬語の基本です。
先にも述べたように、相手と自分の立場を示す言葉でもあります。
つまり間違えて使ってしまうと非常に失礼だということです。
慌てず丁寧に話していればしない単純なミスだからこそ、絶対にしないように気を付けたいものです。

例)
◯「どちらにいたしますか」 → 「どちらになさいますか」
◯「受付でお伺いください」 → 「受付でお聞きください」

尊敬語が使える時は基本的に尊敬語を使いましょう。
丁寧語が使える場面も多いですが、尊敬語のほうがお客さまに対してより適切な言葉遣いです。
◯「どうぞ見てください」 → 「どうぞご覧ください」

二重敬語

「二重敬語」とは、尊敬語が重ねて使われてしまっている誤った敬語のことです。
二重敬語が何か分かっていても、どうしてもつまずいてしまうという方も多いのではないでしょうか。
なかなか矯正しづらい間違いですが、何度も使っていくうちに自然と正しい敬語が使えるようになります。
まずはよくしてしまう間違いを発見するところから始めてみましょう。

よくある二重敬語

◯「お連れのお客様がお戻りになられました」
→「お連れのお客様がお戻りになりました」「お連れのお客様が戻られました」

◯「おっしゃられたように」  → 「おっしゃったように」

◯「お召し上がりになられる」 → 「お召し上がりになる」

全て「お~になる」と「~られる」が重ねて使われています。
この間違いは非常に多いです。
語頭に「お」をつけたときは、「られる」と続けないように意識しましょう。

大名言葉

間違えて使ってしまうと非常に失礼なものが「大名言葉」。
本来は目上の人が使う言葉です。
これらの言葉はお客さまや上司を不快にさせてしまうので、気を付けましょう。

◯「了解しました」「了解いたしました」
「了解」という言葉がそもそも目上の人が使うものなので、「ました」「いたしました」をつけても大名言葉に変わりありません。
「かしこまりました」「承知しました」などの丁寧な言葉を使いましょう。

◯「ご苦労様です」「お世話様です」
こちらの二つも目上の人が使う言葉です。
誰でも使える丁寧な言葉としては「お疲れ様です」「お世話になっております」などがあります。

◯「なるほど」
間違った言葉ではありませんが、生意気に聞こえやすい言葉です。
「なるほど」と言った時は、「さようでございますか」「おっしゃる通りです」などの丁寧な言葉を添えるとよいでしょう。

バイト言葉・若者言葉

接客敬語の間違いのなかでも、「バイト言葉」「若者言葉」は特に耳にすることが多いです。
「バイト言葉」「若者言葉」とは、学生さんなどが使いがちな間違った言葉・敬語です。
とはいえ、年齢問わず使ってしまう言葉も多いです。しっかり確認しておきましょう。

ら抜き言葉・い抜き言葉・れ足す言葉

「見れる」など「ら」が抜け落ちた言葉が「ら抜き言葉」、
「見てる」など「い」が抜け落ちてしまった言葉が「い抜き言葉」、
「書けれる」など「れ」が足されてしまった言葉が「れ足す言葉」です。
それぞれ「見られる」「見ている」「書ける」が正しい言葉遣いです。

よくあるバイト敬語

以下の例は耳にすることが多い間違った敬語です。
ぜひ確認してみてください。

◯「すみません」 → 「申し訳ございません」
「すみません」という言葉は「何が」すまないのかを明確にして使いましょう。
「ご不便をおかけしてすみませんでした」といった使い方が適切です。
単純に謝罪の言葉を述べる時は「申し訳ございません」という言葉がより適切です。
ビジネスの多くの場面で「すみません」はあまり使わないので、覚えておきましょう。

◯「在庫はありません」
→「申し訳ございませんが、在庫を切らしております」
「ありません」は正しい接客敬語ではないうえに、不躾に聞こえます。
「申し訳ございませんが」などのクッション言葉を添えて丁寧にお伝えしましょう。
また次の入荷予定日や類似商品をお伝えしたり、他店からのお取り寄せを提案したりするなど、お客さまのお買い物を最後までサポートしましょう。

◯「こちらのレジへどうぞ」 → 「こちらで承ります」
「どうぞ」という言葉は少々フォーマルさに欠けます。
「こちらで承ります」と言うととても丁寧に聞こえるので、ぜひ使ってみてください。
お客さまと一緒にレジに向かう時などには、レジまで商品をお持ちするとさらに丁寧です。

◯「~させていただく」 → 「~いたす」
この言葉遣いは間違いではありませんが、少々くどい言い回しです。
謙譲語「いたす」で代用できるケースが多いです。
あまり「させていただく」を頻繁に使うのは控えましょう。

◯「~しても大丈夫ですか」 → 「~してもよろしいでしょうか」
「大丈夫」という言葉は、平気・賛成・了承・断りなどさまざまな意味を持っています。
接客の際はこのような曖昧な言葉は避け、分かりやすく話すことが大切です。
「大丈夫」に代わる言葉を予め頭にいれておきましょう。
「平気」の意→「構いません」「問題ございません」
「賛成」の意→「お願いいたします」
「了承」の意→「かしこまりました」「承知いたしました」
「断り」の意→「ありがとうございます、十分◯◯していただきました」

シーン別・間違えやすい言葉遣い


自分が正しいと思っていた言葉遣いが実は間違いだった、ということは往々にして起こります。
しかしながら、言葉遣いの難しいところはそれが間違いだと気づきにくいことにあります。

まずはどの言葉遣いが間違っているのか、自信で判断できる力が必要です。
ここでは特に間違いに気がつきにくい言葉遣いを実際の接客シーンと合わせて紹介します。
一部はバイト敬語として扱われるものもありますが、どの年代の方でも間違える可能性がありますので、ぜひご自身の接客をもう一度振り返ってみてください。

お会計時

<お客さまから代金をお預かりしたシーン>
×「1000円からお預かりします」
→◯「1000円をお預かりします」

この「から」の使い方。よく考えてみると不思議に感じませんか?
こちらは「1000円をお客さまからお預かりします」という文から派生してしまったようです。
適切な助詞である「を」を使いましょう。
ちなみに、ちょうどの金額をいただいた場合には「お預かりする」という言葉遣いは不適切です。
お釣りがなく出された金額全ていただくので、預かっているお金はありません。
「1000円ちょうどいただきます」「1000円ちょうど頂戴します」が正しいです。

<お釣りとレシートお客さまにお渡しするシーン>
×「1500円のお釣りとレシートのお返しです」
→◯「1500円のお返しと、レシートでございます」

お釣りはお客さまにお返しするものですが、レシートはこちらがお渡しするものなので分けてお伝えしましょう。
「お先に1000円をお返しします。残り500円のお返しと、レシートでございます」と一つ一つお伝えするとより丁寧です。
「そんなに分ける必要あるの」と思われるかもしれませんが、この方法には丁寧な印象を与えること以外にも1つメリットがあります。
それは渡すお釣りの金額を間違えにくくなるということです。
お札に小銭を乗せてお渡しするとお客さまはそのまま受け取りますが、分けて渡すことでお互いに確認することができます。
言葉遣いもそうですが、お金の受け渡しはどんなときも丁寧におこないましょう。

飲食店での接客時

物販でも生かせるポイントが多いのでぜひチェックしてみてください
<混雑時などに予約でお客さまにお名前を伺うシーン>
×「お名前頂戴できますか」
→◯「お名前をお伺いしてもよろしいですか」

「お名前」は丁寧語、「頂戴できますか」は謙譲語です。使うべき敬語の種類としては間違いではありません。
しかし人の名前はあげたりもらったりする“物”ではないので、「もらう」の謙譲語である「頂戴する」は不適切な表現です。
お客さまのお名前を「聞く」ので、その謙譲語「お伺いする」を使いましょう。

<お客さまをお席にご案内するシーン>
×「こちらの席にお座りください」
→◯「こちらの席にお掛けください」

「お座り」というのは犬や子供のしつけに使う言葉です。
お客さまを下に見ているような表現であり、失礼にあたります。
「お掛けください」と、丁寧な言葉でお客さまをお通ししましょう。

<お客さまにメニューをお渡しするシーン>
×「こちらがメニューになります」
→◯「こちらがメニューでございます」

「なる」という動詞は変化を表します。
つまり「メニューになります」と言うと、何か別のものがメニューに変化するという意味になってしまうのです。
よく考えれば気づける間違いですので、気をつけましょう。

<お客さまにご注文を伺うシーン>
×「ご注文は以上でよろしかったでしょうか」
→◯「ご注文は以上でよろしいですか」

こちらもよく考えればおかしいと気づける言葉遣いです。
「今」よろしいかどうかお聞きしているので、過去形・完了形にする必要はありません。
この時制の間違いは接客敬語の間違いとしてよく耳にしますので、ご自身の言葉遣いも確認してみてください。

<お客さまへ飲み物や食べ物をお出しするシーン>
×「お飲み物のほうお持ちしました」
→◯「お飲み物をお持ちしました」
×「ご注文のほうは全てお揃いですか」
→◯「ご注文は全てお揃いですか」

「のほう」という言葉は、「東の方」などと方角を指すときに使う言葉です。
文脈に合う助詞を考えて使いましょう。

<デリバリーなどで商品をお持ち帰りするシーン>
×「お持ち帰りいただけるかたちになっています」
→◯「お持ち帰りいただけます」

なにかの形があるわけではないので、「かたちになる」という表現は不適切です。
丁寧な言葉遣いかどうか不安になって、不要な言葉をつけてしまわないように気をつけましょう。

電話対応時

<電話がかかってきて出るシーン>
×「もしもし。〇〇店です」
→◯「お電話ありがとうございます。〇〇店です。」

基本的に、お店にかかってくる電話に「もしもし」と答えることはありません。
5コール以上鳴ってから電話に出た際は、「大変お待たせしました。お電話ありがとうございます。〇〇店です。」とお伝えしましょう。

<お客さまのお名前をお聞きするシーン>
×「どちら様ですか」「どなたですか」
→◯「恐れ入りますが、お名前をお伺いしてもよろしいですか」

折り返しの電話をしたいときなど、お客さまのお名前を伺う場面があると思います。
不躾に「どちら様ですか」と聞くのではなく、クッション言葉などを用いて丁寧に聞きましょう。

<電話のご用件をお聞きするシーン>
×「ご用件は?」
→◯「よろしければ先にご用件をお伺いしてもよろしいですか」

間違いの例は不適切な言葉遣いで、上から目線で言われているようにも聞こえかねません。
「よろしければ」「恐れ入りますが」とクッション言葉を入れて、確認をとりましょう。

<お客さまのお声が聞き取りづらいシーン>
×「少し声が聞きづらいです」
→◯「申し訳ございません。少しお電話が遠いようです」
「声が聞きづらい」「聞こえません」などというと、お客さまを責めているようにも聞こえてしまいます。
「電話が遠い」など場面に合った言い回しは頭にいれておくとよいでしょう。

まとめ

ここまで正しい接客敬語や誤った言葉遣いなどを見てきました。
しかしながら、最も重要なのはここで新たに得た接客敬語の知識を実際の接客で生かすことです。
さらには今まで間違えて使っていた言葉遣いを直し、意識をせずとも接客敬語が使えるようになることが理想です。

先にも述べたように、接客敬語はお店にとってもみなさん自身にとっても大きな役割を果たします。
完璧に使いこなすことができれば、自信を持って接客することができるようになるうえ、お客さまに選ばれるお店づくりにもつながります。
より良い接客ができるよう、ここで学んだ「接客敬語」の知識を現場でも生かしてみてください。


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