共感接客力開発秘話
Empathy Customer Service Development Secret Story

近年、ネット販売の台頭により実店舗を運営する小売店の売上げは
益々厳しくなってきています。
しかし、弊社ではまだまだ「人の力」を信じており、
お店のスタッフの接客を受けて楽しく買い物をしていただくためには
どうすべきかを考え、日々、研究努力をしています。

そんな中、現場では接客における“共感力”という言葉が多く聞かれるようになりました。売れるスタッフは共感力がある。お客さまに喜ばれ、信頼されるスタッフになるためには共感力が必須。などという言葉をよく聞きます。

この「共感」という言葉がヒントとなり、ネットやAIの最も苦手な「人の感情」の部分にフォーカスした接客力を身につけることができれば、まだまだ現場のスタッフやお店も盛り上がっていくのではないかと考え「共感接客力」を開発するに至りました。

そこでまずは、スタッフの共感力を高めるために、曖昧に意味を捉えがちな共感とはなにか。から考えてみることにしました。

共感という言葉を国語辞典で調べてみると「他人の体験する感情や心的状態、あるいは人の主張などを、自分も全く同じように感じたり理解したりすること」とあります。そこで弊社では、接客現場における共感とは「お客さまの気持ちに寄り添い、お客さまを理解しようとする力」と定義することにしました。

では、お客さまの気持ちに寄り添った接客をするためにはどうしたらよいのでしょうか。まずは、スタッフの共感力を高めるために様々な練習方法を取り入れました。

そこで「共感力を高めるために効果的」であった練習方法は下記の6つです。

1.目の前のお客さまに集中する 2.受容力を高める 3.想像力を高める 4.表情力を高める 5.オウム返し上手になる 6.相づち上手になる

共感力を高めるために効果な練習法

  • 01

    目の前のお客さまに集中する

    お客さまの話をよく聴くことの重要性は接客に携わる誰もが理解していることと思います。しかし、多くのスタッフはお客さまの話を聴いているようで、聞いていないことが多々あります。お客さまの話にどう返そうか。次にどんなことを聞かれるのだろうか。など、結局は自分自身のことばかりを考えながら話を聴いているということが練習を繰り返す過程でわかってきました。そこで接客中にスタッフは、自分が話すことを考えずに、目の前のお客さまに集中し、話を最後まで聴く。という練習を繰り返すことにより共感力が高まったのです。

  • 02

    受容力を高める

    お客さまは誰でも自分のことを肯定してほしい。と思って話をしています。別な言い方をすると否定されてうれしいお客さまはいないのです。そこでスタッフは例えお客さまの話が自分の意にそぐわないことでも、まずは「肯定ファースト」でお客さまの話を受け取ってあげるように練習をします。

  • 03

    想像力を高める

    お客さまは自分の話をするとき、その場面を想像(イメージ)しながら話します。その場所の景色、匂い、気温、誰といるのか、着ている服はなにか、そしてどんな感情でいるのか等々。頭の中に思い浮かべながら話をするのです。そこで共感力を高める練習の際は、自分自身がお客さまの立場に立ったとしたならば、どのような感情になるのかを想像する練習を繰り返しました。この練習が最も共感力を高めることにつながりました。

  • 04

    表情力を高める

    お客さまはあなたの顔を見て、微妙な表情を見分けて話をしています。もしも、あなたの表情が曇っていたとしたら、お客さまは話しにくくなり、本音を話してくれなくなる可能性もあるのです。顔面で最も感情が表れやすいのは「目」です。よって目を中心とした表情が持つ表現力を鍛える練習を何度も繰り返し、お客さまが安心して話をしてくださるような表情を作ります。また、お客さまの感情に自身の表情を合わせることができれば、さらに深い共感を示すことができるでしょう。

  • 05

    オウム返し上手になる

    お客さまとの会話を盛り上げ、スムースなコミュニケーションを取る方法の一つに「オウム返し」があります。お客さまの言った言葉をそのまま繰り返すのです。例1.「最近、転職したんだ!」、「転職されたんですね!」。例2.「この前スキーに行ってすごく楽しかった!」、「楽しかったんですね!」。このように相手の言った言葉を繰り返すことをオウム返しをするといいます。しかし、この例1と2のオウム返しは大きく違います。1は転職という事実を繰り返したのですが、2は楽しかったという感情を繰り返しました。実はオウム返しは「お客さまの感情表現をオウム返しする」ことによって共感力が高まると言うことがわかりました。

  • 06

    相づち上手になる

    お客さまの話には「肯定ファースト」で受け止めること。そして、受け止める際の言葉や相づちの仕方によっても共感力が変わってくるということがわかりました。今まで聞かれた多くの相づちには、「そうなんですね」「はいはい」「なるほどなるほど」「確かに」などです。これではお客さまに共感を示す相づちにはなりません。また、「はい」や「なるほど」など1回でいいのに2回言うのも相手にとっては不快です。そこでお客さまとの関係がよくなって、共感を示す相づちの仕方として「ポジティブ相づち」というものを練習しました。「さすがです!」「ステキです!」「素晴らしいですね!」「そんなに!」などです。よく見るとサ行の言葉が多いようです。さらに相づちのタイミングも大切にし、お客さまの話が途切れたら間髪を入れずに「ポジティブ相づち」。これによってお客さまとの距離がぐっと近づき、より一層会話も盛り上がるようになりました。

このように接客において徹底的に共感力を高める練習を繰り返したことにより、スタッフの接客力はみるみる上がり、また合わせて売上げも上がるようになりました。
この共感をベースとした接客方法を「共感接客力」と名付け、今では多くのスタッフの皆様の接客力アップのお手伝いをさせていただくようになりました。
接客現場や接客ロールプレイングコンテストなどを見ていて、優秀なスタッフに見られる共通点は「共感力」であるのは間違いないのですが、弊社が考える共感力をさらに進んだ形で体現されている方々もいらっしゃいます。
その方々は共感を2種類に分けて、バランスよく使い分けています。

2種類の「共感」

  • Cognitive empathy
    認知的共感

    1つ目は、お客さまの置かれている状況を理解しようとする力です。これは感情心理学において「認知的共感」といいます。
    例えば、お客さまが上司の自宅に手土産を持って行くという状況において「上司との関係はどうなんだろう?」「上司の奥様もいるのかな?」「お子さまは?」とお客さまの立場になって考え、状況を理解しようとします。「頭による知的理解」などとも言います。

  • Affect empathy
    情動的共感

    2つ目は、置かれている状況を踏まえ、お客さまの感情を自分のように感じる力です。これは「情動的共感」といいます。
    お客さま上司に手土産を持って行くにあたって「ドキドキしている!」「喜んでもらいたい!」「驚かせたい!」というように、お客さまの感情を代弁したりします。「心による情的理解」などとも言います。

私たちが一般的に「共感力」と聞いて思い浮かべるのは2つめの「情動的共感」の方だと思います。
弊社が長年接客や接客ロールプレイングを研究してきてたどり着いたのが、接客力の高いスタッフはこの2つの共感力のバランスがとてもよいことです。
もし、接客時の共感において、「認知的共感」ばかりだと、お客さまはなにか作為的なものを感じたりします。
一方、「情動的共感」ばかりだと、お客さまに対する理解不足で「自己中心的な共感」になり、「共に感じる」のではなく、自分だけが感情に浸ってしまっているような印象を受けます。
このように弊社は「共感力」を徹底的に研究し、接客に活かすトレーニングを理論と実践の両面から繰り返し実践してきました。

共感接客力の目指すところは「お客さまに愛され、喜ばれる接客」ができるようになることです。

最後に『共感力』(ダイヤモンド社)(ハーバード・ビジネスレビュー[EIシリーズ])の中で、脳科学者の中野信子氏がこのように書いています。

「私たちは、知能の高い人よりも共感力の高い人のほうに好感をもつ」

弊社は知識やテクニックに溺れることなく、これからも「共感力」を武器に、「好かれるスタッフになるため」に日々接客力向上に取り組んでまいります。

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